このクラスは、近年のFAIルール改定によるF4C、F4Hのレベルアップが日本の現状にそぐわないため、
スケール競技をより広く普及させるため、より簡単なスケール競技規則が必要という要望により新設された競技
です。この規定の骨子は、スケールモデルであればどのような機体でも参加できるようにした事と「自作規定」
が無い点にあります。
F4Hクラスと同様にあくまで初心者がスケール競技に参加しやすくする目的で設立されたもので、将来的に
はF4Hスケール、F4Cスケールを志向して頂くのが目的です。
スケール・スポーツマンクラス競技規定
令和7年4月1日発効
(2025年改定)
日本模型航空連盟スケール委員会
日本のスケール競技会の現状と新規定導入の背景
残念ながら、F4スケール競技界は新規参加者が減少し、大会関係者の努力にも拘わらず参加者数の確保に苦
慮している現状です。参加者数減少の原因として考えられるのは、法規制によるラジコン模型忌避(きひ)、活動
拠点(飛行場)の減少、高齢化、国内、国外共にキットメーカーの減少という模型界の現状に加え、とりわけF
4スケールモデル競技界においては多くのスケールモデラーが精密な機体作りと正確なドキュメンテーション資
料が要求される煩雑(はんざつ)なFAI/CIAM国際ルールのF4C、F4H規程への関心が薄れてきている
という事実です。
しかしながら、機体の評価(静止審査)が要求されない国内スケール競技ルールのスケール・スポーツマンク
ラス(スポーツマンクラスと呼称)においては、その簡略さとスケール機であれば、どの機体でも参加できると
いう気楽さもあり、多少ながらも参加者の増加傾向を見ています。そこでこのスポーツマンクラスに軽微な静止
審査を加え、本来の国際ルールF4C、F4Hと同じく飛行審査得点、および静止審査得点の合計が総合得点と
なる形としました。
この新規程の目的は、スケール競技人口の増加と国内の選手権大会は勿論のこと、国際大会(世界選手権大会)
へのスケール競技参加者増を図る事です。具体的には現在の公式競技規程であるF4C、F4Hに加え、現在ま
でトライアル・ベースで実行されてきた国内ルールであるスケール・スポーツマンクラスの体制化を図るために
次の2種類のスケール・スポーツマンクラスを設けます。
1.スケール・スポーツマンクラスA(呼称:SSC−A)
従来のスケール・スポーツマンクラスに全得点の25%の割合で静止審査得点を加える。
飛行審査得点75%+静止審査得点25%が総合得点となる。
※提出ドキュメンテーション資料詳細については別添参照。
2.スケール・スポーツマンクラスB(呼称:SSC−B)
従来と変わらず、スケール競技初心者向けに飛行審査得点のみの競技。
A:一般規定
1.参加資格要件
a)最大重量は燃料を除き15Kg(F4C競技規程6.3.1:一般規格に準拠)。
b)参加機体は自作、他作、ARF、その他「実機」のスケールモデルに限られるが「自作規程」は無い。
c)実機スケールモデルとしての判断が困難な場合、参加機体の適格性については競技委員長が最終決定す
る。
d)その他諸事項については、F4C競技規定6.1:一般規則の項に準拠。
B:飛行審査
a)飛行審査は、A、Bの2クラスに分けて行いF4C、Hの飛行審査に準じる。
Aクラス:
規定演技の離陸、及び進入と着陸の2演技に加え、水平8字飛行、360度降下旋回を含む選択演技8
演技の、フルパターン10演技での飛行審査とする。
Bクラス:
規定演技の離陸、及び進入と着陸の2演技に加え、選択演技6演技を行い、全8演技での飛行審査とす
る。
(水平8字飛行、360度降下旋回は含まなくても良い)
注)水平8字飛行、360度降下旋回を含め、選択演技の飛行順は任意とする。
※E付則2-1、2-2(飛行審査採点表)参照
b)スケール・スポーツマンクラス用として定めた"K値"を採用して飛行審査を行う。
※E付則1(SSC−K値)参照
c)競技は基本的に2名の審査員により2ラウンド行い、得点の高いラウンドの点数を飛行得点とし、最終
成績の総合得点は、飛行得点を1,000点で平準化された得点で行う。また、競技会への参加者数、
時間的制約等でやむを得ない場合に限り、マルチフライトラインでの競技運営、もしくは選択演技科目
を減じることが出来る。
※マルチフライトライン:
競技に於いて複数の飛行審査を同時に行う。その場合ジャッジズ・ラインは複数となり、審査員は各々
のフライトライン毎に2名とし、別途「フライトライン・コーディネーター」を1名設ける。
審査員は公平性維持の為、1ラウンド毎にセットで入れ替わる。
C:静止審査(対象はAクラスに限る)
a)静止審査資料は以下とし、各項目1〜3枚程度の資料を提出する事とする。
1)図 面:雑誌、プラモデル等に付属の簡単な3面図で可。コピーでも可。
2)写 真:モデル機体の出来れば三面写真、コピーでも可。
3)色彩資料:雑誌、プラモデル等の箱等に描かれた色彩画でも可。コピーでも可。
b) 静止審査は、外形、色彩、スケール・エフォート(努力度)を審査する。
※E付則3(静止審査採点表;SSC−Aクラス)参照
C ) 静止審査に先立ち、5m以内に近寄らない距離ですべての参加機体を観察し、与えるべき得点の配点基
準を設定し、相互比較しておかなければならない。
D:最終成績
a)Aクラス
総合得点=飛行得点(max1,000点)+静止得点(max250点)。
ここに、飛行得点:飛行審査得点を1,000点で平準化された得点。
静止得点:静止審査得点を250点で平準化された得点。
b)Bクラス
総合得点=飛行審査得点を1,000点で平準化された得点(max1,000点)。
※総合得点が同点の場合、飛行審査得点の高い者を上位とする。更に得点が同じ場合は、低年齢者を上位者
とする。
E:付則1(SSC−K値)
(参考:FAI SPORTING CODE VOLUME F4 6.3.2.10、6.3.2.11)
離陸 K=11
水平8字飛行 K=8
360度降下旋回 K=8
シャンデル K=7
ウイングオーバー K=7
インメルマン・ターン K=7
宙返り1回 K=7
スプリットS(リヴァーサル) K=7
ロール(ノーマル) K=7
ロール(ポイント・ロール、バレル・ロール) K=8
ストール・ターン K=7
ノーマル・スピン(3回) K=8
キューバンエイト K=8
リヴァース・キューバンエイト K=7
ハーフ・キューバンエイト K=7
ハーフ・リヴァース・キューバンエイト K=7
レイジーエイト K=8
背面飛行 K=7
デリーターン K=8
右又は左へのサイドスリップ K=8
プロシーデュア・ターン K=7
低速直線飛行 K=7
三角形周回飛行 K=7
四角形周回飛行 K=7
一定高度の直線飛行(上限高度6m) K=7
片発低スロットルでの直線飛行(多発機に限る) K=8
爆弾または燃料タンクの投下 K=7
パラシュート K=7
オーバー・シュート K=8
タッチ・アンド・ゴー K=8
着陸装置もしくはフラップの出し入れ K=7
主題実機による一つ目の飛行操作 K=8
主題実機による二つ目の飛行操作 K=7
着陸 K=11
E:付則2−1(飛行審査採点表−1;SSC−Aクラス)
E:付則2−2(飛行審査採点表−2;SSC−Bクラス)
E:付則3(静止審査採点表;SSC−Aクラス)
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