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FAI SPORTING CODE SECTION 4

VOLUME F4

FLYING SCALE MODEL AIRCRAFT  (2024年版)
      
                                            2024年1月1日発効
6.9  F4H スケールクラス - R/Cスタンド - オフ スケールモデル
( R/C STAND-OFF SCALE MODEL AIRCRAFT )
  
6.9.1 序章
  F4Hクラスは、詳細なスケール精度に関しては簡略化されたラジオコントロールモデルだが、飛行性能と実機感をより強調したクラス。
  それゆえ、静止審査得点と飛行審査得点のバランスは1:2となる。
  競技者が自身のモデルを製作しなければならない規則(BOMルール、6.3.2.1参照)はF4Hクラスには適用されない。
  飛行演技規則はF4Cと同じー6.3.2参照

6.9.2 一般規格
  モデル機の一般規格はF4Cと同じ(6.3.2.1 参照)

6.9.3 参加資格
   過去6年間において、世界選手権大会、大陸選手権大会のF4C部門において、上位5位以内となったモデル機は、再塗装、改修を
   施したものを含めてF4H大会には参加出来ない。

6.9.4  宣誓書
    参加選手は、宣誓書の記入により審査員にモデル機の成り立ちについて知らせる。例えば、そのモデルは、参加選手の自作なのか、
    キットから組み立てたのか、或いは、ARTFモデルの一部を自作したものなのか?参加選手は宣誓書の記載を補強するための
    立証資料を提出することが出来る。
    また、作成された宣誓書はチーム・マネージャーによって裏書き署名されることによって有効なものとなる。
    宣誓書の不正が後刻判明した場合、参加選手は競技失格とされる。
    F4Hクラス宣誓書の書式は、6.9.1の付属書Aに記載されている。

6.9.5  スケールの証明
   ドキュメンテーションの要求は、正確なアウトラインおよび、モデルの主要な構造を満たしている事が最小限の条件となる。
    資料としての証拠は、色彩、彩り、全てのマーキング およびモデルの実機感を満たす事を要求される。
       写真や印刷による写真複製は、適切なサイズ(概ねA5判が最小)を別個のシートにしても良いし、またA2サイズ以下のシートに
       いくつかの写真をまとめても良い。
    ページに付箋を付けた本のように綴じたものは受理されない。
       スケールの証明のためのドキュメンテーションは3部製作すること。
    図面と写真に相違がある場合には、良好な写真のそれが優先する。
    不十分な、または不適切なドキュメンテーションには、記述された減点は無いが、審査員はあくまでも可能なドキュメンテーション
    に沿って得点を与える。貧弱なドキュメンテーションは得点の減少をもたらし、どのような観点からもドキュメンテーションが
    無い場合には、その件に関しては零点となる。

6.9.5.1  証明写真
      主題実機の写真、または印刷の写真複製を最少1枚、最大5枚提出しなければならない。 それら写真のうち、少なくとも1枚はモデル
      製作の対象とした主題実機そのものの写真でなければならない。また、少なくとも1枚は機体全体が写っていなければならない。
      理想的には、それらの写真は、両側面、正面、平面、裏面を撮ったものが望ましい。
      模型の写真は、その模型がプロトタイプ実機と並べられている場合にのみ許される。
      写真にデジタル加工処理が行われた証拠が認められる場合には失格となる。
      近接写真や細部写真は要求されない。

6.9.5.2  図面
      図面は、最小限1つの側面形、正面形、平面形を表示する事。
      全ての図面はクラスF4Cの要求に合致すること。(参照:6.3.1.3.3b)

6.9.5.3  色彩とマーキングの証明
    この項目は、カラ―チップ、オリジナルの塗料見本、カラ―写真(3面形審査のために提出した写真と同じでもよい)、
    出版された本、雑誌またはキットの箱絵等のカラーイラストが使用できる。
    同様な色彩が施された他の機体の例を添えた出版物も認められる。
    色彩証明のためのカラーチップについては実物証明までは要求されない。

6.9.6  静止審査
   a) 3名の審査員と1つの審査パネルを除けば、静止審査員の指定はF4Cと変わら
     ない。 
   b) 全ての静止審査は、5mの距離を取って行われる。これはモデルの中心から審査員席までの距離で計測される。
      c) 夫々の審査項目は、各審査員により1/10点を使用して最大10点までの得点を採点する。
   d) 審査員はモデルに施された工作技術や、いかなる細かい部分についても、5mの距離から明瞭に見えない場合には関与しない。
   e) 1機あたりの審査時間は20分を超えてはならない。
     静止審査のチーフジャッジは、各々の審査項目についての時間制限を設ける責任がある。


6.9.6.1  スケール精度
     この項目は、提示された資料(ドキュメンテーション)との照合により、モデルのアウトラインおよび主たる構造的な特徴を評価する。 
    5mの距離から明瞭に見えない如何なる詳細については、この項目には含まれない。

6.9.6.2  マーキングの精度
     マーキングの精度は、提示された資料(ドキュメンテーション)との照合により、カモフラージュ・パターンや位置、マーキングの
     向きやサイズを評価する。

6.9.6.3  マーキングの複雑度
     マーキングの複雑度とは、マーキングの複雑度や色彩を、競技に参加している他のモデルとを比較して評価する。

6.9.6.4  色彩の精度
      色彩の精度とは、提示された資料(ドキュメンテーション)との照合により、色彩の正確さや配色を評価する。

6.9.6.5  色彩の複雑度
     色彩の複雑度は、色彩の種類、色彩の分割及び色彩間の境界を、競技に参加している他のモデルとの比較で評価する。

6.9.6.6  実機感
     これはモデルが、如何にドキュメンテーションに記載された主題実機の性格を、表面仕上げ、ウェザーリング等を考慮してとらえて
     いるかの主観的な評価です。

6.9.6.7 モデルの独創性 (参照: 6.9.1C.3.10)
     この項目は、モデルの原点の申告に対する審査員の再確認です。
    参加選手により全て製作、被覆、塗装されたモデル(自設計、市販設計図、市販の従来型キット)には最大点が与えられる。 
    選手が被覆と塗装のみを行ったモデルは若干の減点がなされる。
    ARFモデルは(参加選手による大幅な改造の証明が行わなければ)零点に近く評価される。
    
    
6.9.7  静止審査項目とKファクター
       項目              K−ファクター
     スケール精度               
       側面形                               K=7
       正面形                               K=7
       平面形                               K=7
           マーキング 精度                      K=7
     マーキング 複雑度                   K=3
     色彩精度                             K=4
     色彩複雑度                           K=2
       実機感               K=7
      モデルの独創性                       K=6
                                 TOTAL           K=50

6.9.8  静止審査得点の平準化
   参加選手の静止得点の合計は、次のとおり500点で平準化(ノーマライズ)される。
    静止得点x = Sx / Sw  X  500
   
        ここにおいて:
     静止得点x =参加選手xの平準化(ノーマライズ)された静止得点
    Sx = 参加選手xの静止得点 
       Sw = 静止審査における最高得点者の得点

6.9.9  飛行審査得点の平準化
    参加選手の各ラウンドにおける飛行得点の合計は、次のとおり1000点で平準化(ノーマライズ)される。
       飛行得点x = Fx /Fw X 1000
       ここにおいて:
     飛行得点x =参加選手xの平準化(ノーマライズ)された飛行得点
       Fx = 参加選手xの飛行得点
       Fw = そのラウンドにおける最高得点者の飛行得点

6.9.10  最終成績
    各参加選手の最終成績は、6.9.5の静止審査で得られた静止得点を平準化した得点に、飛行審査で得られた飛行得点のうち、
    最も良かった2つの飛行得点を平準化した得点の平均値を加算したものとする。参加選手の飛行が一回だけで終わった場合には、
    その飛行で与えられた飛行得点を平準化した得点を2で割ったものとする。
    主催者側の手の及ばない不可抗力な理由によって3回以下の公式飛行しかできなかった場合には、成績は次のように決定する。
 
    a)2ラウンドの飛行が行われた場合、その2回の飛行得点をそれぞれ平準化した得点の平均値が用いられる。
    b)1ラウンドのみの飛行の場合、その1ラウンドの飛行得点の平準化した得点が記録される。
    c)公式飛行における得点は、全ての参加選手が、その飛行ラウンドにおいて同等の機会を与えられた場合に限り記録される。

  世界選手権大会および大陸選手権大会における国チームの順位は、選手権が完結した後、各チームのメンバー3人の最終成績の合計点
  によって争われるが、チームに4人目のメンバーがいる場合(4人目は必ずジュニア・メンバー)には、上位3人の最終成績の合計点に
  よることとなる。
  同点の国チームがある場合、トップから数えた順位数の合計がより少ない数となるチームが上位となる。もし、その順位数も同点となる
  場合は、最高点の個人がメンバーとしているチームが上位となる。
  
  


 6.9.1    ANNEX C - F4H静止審査のまとめ

6.9.1  付則C−F4H静止審査サマリー

6.9.1C.1 静止審査  一般
 F4Hクラスの静止審査は、F4Cの静止審査を簡略化したものとなる。F4Hにおいては、「モデルは選手が単独で製作と仕上げを行ったもので
 なければならない。」とするF4C規則6.1.10(通称BOMルール)は、適用されず、モデルの製作者は誰であってもよい。
 F4Hのすべての審査は、審査員がモデルのセンターラインから5m離れた位置から行うこととされており、5m離れた位置から確認が難しい
「表面質感」、「スケール細部」、「工作技術」については審査しない。
 各審査項目の審査に当たっては、0,1を最小単位として10点満点で採点を行う。静止審査員は、一つのチームのように連携して審査し
 各項目に与えるべき得点について一致できるよう努力すべきである。個々の審査員は、違った点数を与える権利を持っているが、
 その違いの程度は最小限とすべきである。
 実際に与えられた得点に関わらず、競技に参加したすべてのモデルにわたる的確で公正な比較を行うことが最も重要である。
 静止審査を始めるに先立ち、審査員はなるべく多くの競技参加モデルについて、複雑度の全般的比較を行い、それらモデルの大まかな
 評価の順位付けを行うとよい。
 これは公式の手順とする必要はなく、またすべてのモデルを対象としなくても良い。このための観察は通常ピットエリア、または選手が
 モデルを組み立て準備するための場所を巡回することで行われる。
 選手は、静止審査が行われている間、審査員が選手にモデルやドキュメンテーションについて質問する場合に備えて、モデルに付き添って
 いなければならない。
 モデルの大きさによっては、審査員の求めに応じモデルの姿勢を変えるための助手(ハンドラー)も必要である。
 審査員は、それぞれのモデルの審査の終了までに20分以上かけてはならない。
 重要なのは、すべてのモデル機の静止審査が終了し、更に最終見直しが完了するまで、すべての静止審査採点表は審査員の手元に
 置かれることである。

6.9.1C.2  ドキュメントの点検
 静止審査の際に必要とされるドキュメンテーションは、採点表、選手宣誓書およびスケールの証明のための資料である。これらの
 ドキュメンテーションは、モデルが静止審査を受ける際に提出されなければならない。静止審査員は、モデルを審査する前に
 ドキュメンテーションを注意深く点検しなければならない。

6.9.1C2.1 静止審査採点表
 選手は、選手自身とモデルに関する事項が正しく記入された点表が審査員に提出されていることを確認する義務がある。


6.9.1C.2.2 選手宣誓書
 漏れなく記入され、署名された選手宣誓書は必須のドキュメンテーションであり、静止審査は、漏れなく記入された宣誓書が提出されない
 限り開始できない。

6.9.1C.2.3 スケール証明のためのドキュメンテーション
 スケール証明のためのドキュメンテーションについての要件は、F4H規則(6.9.5参照)で定めている。写真および印刷物 については、
 F4Cの場合と同じ要件を満たす必要があるが、写真または印刷物の枚数は5枚を越えてはならない。
 5枚以上の異なる写真または印刷物が提出された場合は、審査員は審査を始める前に、選手に指示し、その超過分を取り除くか、覆いをして
 隠させなければならない。 
 図面は、F4Cで要求されているのと同じ要件を満たしたものでなければならない。
 モデルのスケール精度は、モデルに対し選手の提示したスケール証明のドキュメンテーションおよびスケールの立証資料を比較する
 ことによってのみ審査できる。
 審査員は、選手の提出した資料に基づいてのみ得点を付与できる。したがって、モデルの如何なる部分でも関係するドキュメンテーション
 が無い、或いは、不適当、不十分である場合には、与えることが出来る点数に反映されなければならない。
 スケール証明のドキュメンテーションは、即座にそして容易に理解できるような方式で提示されていなければならない。
 ドキュメンテーションはどのように提示されるべきかは、F4C規則の6.3.1.5で示されている。ドキュメンテーションが規則の通りに良く
 出来ていても、それだけでスケール証明が全体に行き届いていることにはならない。
 望まれるスケール証明のドキュメントは、以下の6.9.1C.2.3.1〜6.9.1C.4の項目が審査員に対する指針となる。
 審査員は、怠慢によるドキュメントの不完全ないし出来の悪さが却って選手を利することが無いよう厳に注意する必要がある。

6.9.1C.2.3.1 写真
 アウトラインの証明のための写真は、理想的には機体全体が写っており、その画像の大きさは幅15p以下であってはならない。
 提出される写真は、画質が良く鮮明、焦点深度が深く、理想的にはゆがみがないこと。 
 静止審査員はカメラレンズによるゆがみや遠近の違いによるゆがみ、そしてこれらの現象が主題実機の画像にどのような影響を及ぼすか
 についてよく理解していなければならない。
 コンピューターを利用した写真修正ソフトウエア―(例えばフォトショップ等)の普及により、審査員はモデルの誤りを隠すため修正した
 実機写真を見分けられるよう警戒しなければならない。
 同様に、審査員は、実際はモデルの写真であるのに主題実機の写真であるかのように修整した写真についても注意を怠ってはならない。

6.9.1C.2.3.2 スケール図面
 図面の仕様については、その寸法の最小制限を含めた規則6.3.1.3.3bで定義されている。しかしながら、線の太さも重要であり、太い線の
 図面は小さな図面からの拡大コピーであることが多く、
 精度に疑問がある。図面の線の太さは、0.5mmを越えてはならない。
 審査員は、提出された図面が元々どのような素性の図面なのか、また、何処から出版されたかを知ろうとすべきである。図面の原作者、
 或いは出版元が特定できない場合、その図面は、選手の所属するNACの認証を必要とする。図面は、その出版元を立証出来ず、また、
 選手の所属するNACの認証もない場合、受理されず、無いものと見做されなければならない。
 図面は、モデル化された主題実機と同じ型式(MK番号;変形、改良型に対応する形式番号)のものでなければならない。主題実機と同じ
 機種で異なる型の機体の図面は、両機の相違が軽微であり、かつその相違点が追加のスケッチ、或いは写真による相互参照によって
 明瞭に確認できる場合には受理される。

6.9.1C.2.3.3 マーキングと色彩配色
 主題実機の両側面、更には翼の上面および下面についてすべてのマーキングおよび完全な色彩配色の立証資料を入手することはなかなか
 難しく、残念なことに屡々、主題実機と同型の実機の大変良い写真複数枚と主題実機の写真又はイラスト1枚だけが提出されるような
 ことが起こる。
 審査員は、マーキングは機体の両側面とも同じに施されているとか、同様な機体には同じマーキングや色彩配色が施されていると
 考えてはならない。
 
6.9.1C.2.3.4 色彩精度の証明
 色彩精度は、提出された色彩精度の証拠との比較によるモデルに使用されたすべての色彩の正確さを扱うのであり、高得点を付与される
 には、包括的な色彩の立証証拠が提出されていることが必要不可欠である。
 色彩の正確さは、オリジナル塗装の見本、権威ある者の認証したカラーチップのある印刷物、カラー写真、出版されたカラー図面によって
 確かめることが出来ると考えられる。
 カラー写真は、事実上あらゆる色合いで再現できるので信頼できない可能性があり、更に、周囲の光の状態(式温度と偏光)がモデルの
 審査時と同じでない可能性がある。例えば、人口光で照明された実機を撮影した写真は、モデルを戸外で審査する場合の信頼できる
 色彩証明とはならない。
 色彩の証明資料は、塗装仕上げが艶消しか、光沢か、或いはその中間なのかが判別できることも必要である。

6.9.1C.2.3.5 スケール実機感の証明
 リアリズムの定義は、「その物が実際に在るかのように表現する」と言うことであり、スケールモデル機のリアリズム(実機感)を
 審査する場合、モデル全体を主題実機の写真と比べることか最も良い方法である。
 F4Hモデルの実機感を立証する最も良い資料は、いかなるウエザーリングや使用の痕跡、構造上および仕上げにおける欠陥や損傷も含む
 主題実機の全体が示されている良質の写真である。
 この写真はスケール精度審査で使用されたものと同じもので良いが、理想的には別々に提示されていると良い。

6.9.1C.3 モデル機の審査
 ほとんどのF4Cモデルの審査指針はF4Hにも適用できるが、静止審査員は、5mの距離から明瞭に見えない細部が省略されていても
 減点しないよう注意すべきである。
 数々の審査項目について審査の順序を定めた規則はないが、以下の条項の順番で採点するのが採点表の項目順でもあり推奨する。
 実際のところ、これらの項目の審査には重複するところがあり、例えば、機体のアウトラインの誤りなどは色彩配色やマーキングで
 明らかになる。

6.9.1C.3.1  スケール精度の審査
 先ず最良の写真と同じ姿勢にモデルを配置し、明らかな相違点を調べることが推奨される。写真にはいろいろの型のひずみがある場合が
 あるので、審査員は、写真と図面を良く見比べるべきである。斜めから撮られた写真では、しばしば上反角や張線の角度について誤った
 印象を与えることがあり、図面はより正確な資料となろう。

6.9.1C3.2 側面形
 胴体のアウトライン、キャビン又はキャノピーの形状、操縦席コックピットの開口部の形状、エンジンカウリング、プロペラと
 スピンナーの形、垂直尾翼とラダーのアウトライン、主翼と尾翼の断面、を調べる。更に、主脚、首脚と尾脚/スキッドの形状、
 角度および位置、車輪とタイヤの大きさ。該当するものがあれば、翼の食い違い(スタガー)、翼の上下間隔と形、支柱や張線の
 配置を調べる。審査に当たり、主翼の厚さおよび翼に沿って変化する断面形状について特に注意する。
 左右両側面が全く同じである航空機は殆どないので、モデルの両側面を調べる必要がある。

6.9.1C.3.3 正面―後方面形
 主翼の上反角、厚さとテーパー、ねじり下げ、リブの盛り上がり、翼の支柱、多葉機の張線と翼間の隔たりを調べる。更に垂直尾翼と
 ラダーおよび水平尾翼の厚さ、胴体とエンジンカウリングの断面、カウリングの形状と開口部切がき、プロペラの大きさとブレイドの形、
 操縦席キャノピーと風防(ウインドシールド)の形状、脚の大きさ、形状、位置および角度、車輪間隔およびタイヤの厚さを調べる。

6.9.1C.3.4 平面形
 主翼のアウトラインとフェアリング(形を整えるための流線形の覆い)、エルロンの大きさ、フラップ(確認できれば)、水平尾翼
 の大きさ及びアウトライン、エレベーター(昇降舵)の大きさ、形状および切欠き、トリムタブ、胴体の形状およびテーパー、
 操縦席またはキャノピーの形状、エンジンカウリングの形状について調べる。
 平面の審査は、また主翼のマーキング精度と位置を調べる機会でもある。

6.9.1C.3.5 マーキングと色彩配色の精度の審査
 審査員は、ドキュメンテーションによってすべてのマーキングと色彩配色が(いずれの面にあるとしても)証明される場合のみ、その
 モデルのマーキングと色彩配色につき高得点を与えることが出来る。機体の両側面には同じマーキングが施されていると推測することは
 出来ない。指針としては、立証資料には機体の一側面のマーキングのみが示されており、もう片方のマーキングについてはそれを証拠
 立てる資料がない場合、そのマーキングが如何に複雑でも2.5点以上は与えるべきではない。

6.9.1C.3.6 マーキングと色彩配色の複雑度の審査
 審査に先立って、審査員はマーキングの複雑度に関する採点を行う上での基本方針につき合意しておくべきである。マーキング複雑度の
 高得点は、単に異なる色彩やマーキングの数の多さに依るのではなく、必要とされる効果を達成する上での困難さに懸かっている。
 与えられた得点は与えられた得点は、参加モデル全体に亘る得点の公正な比較の下で採点されたことを確認することが重要である。
 本項目で高得点が本項目で高得点が与えられるためには、5mの距離で視認できるすべてのマーキングについての立証資料が提出されて
 いることが重要となる。

6.9.1C.3.7 色彩精度の審査
 審査は、モデル機上に見られるすべての異なる色彩について、色彩の立証資料と比較することによって行われるべきであり、これには
 マーキング、レタリング、国籍マークに使われているすべての色も含まれる。
 審査員は、色彩の審査を行うときは偏光眼鏡や色の着いた眼鏡(色相のないグレイの眼鏡は除く)を掛けるべきでない。
 包括的な定評ある色彩資料が提出されていることが高得点を付与するうえで必須である。

6.9.1C.3.8 色彩の複雑度審査
 審査を始めるに先立ち、色彩の複雑度を採点する際の基準につき審査員の間で合意形成しておくべきであり、わずか一つか二つの単純な
 色彩によるモデルに比べ多数の色彩を使った仕上げ再現にはより多くの努力が必要なことを考慮しなければならない。
 機体の目立つ部分をカバーする主要な色彩の一つ一つについては、複雑度の得点2点まで付与して良いと示唆する。小さな部分の色彩、
 例えば、国籍マーク、支柱、銃、爆弾などについては、その一つ一つにつき最大1点まで付与して良いと思われるが、基本色である
 黒と白は複雑度の得点では評価が低い。
 得点は、単に使われている色彩の数に依るものではなく、その色彩がモデル上にどのように配分されているか、また、色彩の境目が
 平らな面や構造物上にあるか、そうでなく湾曲した面や構造物上にあるかにも注意を払うべきである。

6.9.1C.3.9 実機感の審査
 スケール実機感を審査するうえでドキュメンテーションの質は極めて重要であり、ドキュメンテーションに主題実機の特徴を捉えた
 質の良い写真や画像が含まれていなければ、その欠落は採点に反映されなければならない。審査員は主題実機の型式からの推測を
 避けるよう注意を払うべきである。
 主題実機が汚れのない博物館展示機の場合には、モデルも新品同様でなければならない。
 主題実機が運用機であれば、一定のウエザーリングおよび日常使用の痕跡が明らかでなければならない。
 審査員は、自身の知っている実機に関する如何なる知識も使ってはならず、また、主題実機の型式、その製作された時代の製造技術、
 その航空機が撮影された際に写り込まれた周囲の状況から憶測をはかってはならない。

6.9.1C.3.10 モデルの独創性の審査
 審査員は、選手が宣誓書のモデルの独創性に関する問いに対して正しい答えにチェックを入れているか確かめなければならない。
 他方、選手が、第三者の製作物に手を加えてスケール精度を高めた証拠を提出できるのであればしん酌を加えてよい。
 モデルが、箱から出したものをただ組んだだけの場合、或いは、すべて選手以外の者によって製作された場合には0点とすべきである。

 以下に記すところが指針となる。 
  選手による自作(図面、或いはキットからの作製のどちらでもよい)     10点
  選手が、製作済みの胴体と翼に被覆および塗装を行った。         6〜8点
  選手が、合成樹脂モールドの機体に塗装を行った。            4〜6点
  選手が、ARTFモデルのマーキングに手を加えた。             0〜4点
  ARTF又は購入した完成機で、選手は何も手を加えていない。         0点

6.9.1C.4 審査結果の最終見直し
 すべてのモデルについて審査が終了したら、すべてのモデル機に与えた得点、とりわけ複雑度の得点について、静止審査員長の指揮の
 もとで見直しを行うべきである。
 一つのモデルの複雑度得点を他のモデルのそれと比較することによる相対的複雑度得点は重要であり、このことを確実に行うため
 静止審査員は、見直しのための時間を与えられるべきであり、必要であれば、すでに付与された得点を遡って変更する。
 審査員の付与した得点は、その審査をした審査員によってのみ変更され、如何なる変更にも同審査員のイニシャル署名がなければ
 ならない。
 この見直しにはサマリー・シートの使用が推奨され,見直しが完了したとき、その最終集計が静止審査採点表として公表される。

  
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