ウェストランド・ワイバーン


  ウェストランド・ワイバーン
ウェストランド・ワイバーンは航空省の仕様N.11/44により1950年代にウェストランド
航空機が設計、製作した単座の空母搭載多目的攻撃機で、ロールスロイス・イーグル22型 24気
筒H型ピストンエンジンを使用した長距離海軍用戦闘機で、ターボプロップエンジンと交換できるこ
とができるように配慮した機体設計を求めた。この要求に応じた原型の設計は、3500馬力のロー
ルスロイス・イーグルエンジンと、低翼、2重折りたたみ翼、内側はヤングマンフラップ、外翼には
従来のフラップを装着し、尾輪式のオーソドックスなものだった。
イーグルエンジンの生産停止に伴い、次なる仕様N.12/45は、ロールスロイス・クライドまた
はアームストロングシドレー・パイソン/ターボプロップエンジンを搭載した、ワイバーンのTF.
Mk.2として発出された。 
クライド・エンジンは後にキャンセルされ、パイソン・エンジンの完成度は未だで、機体は1952
年に実用段階に入ったと宣言されたが、運用部隊には配備されることはなく、その後の実用型は、後
にS.Mk.4となるTF.Mk.4だった。
1954年9月に、地中海での空母運用のためにHMSアルビオンに搭載されたが、ワイバーンはカ
タパルト発射時の加速による燃料欠乏による燃焼停止の問題が多発して、多くの機体が失われ、その
内の一機マクファーレン中尉は着水して機体が空母に分断されながら、機体から正常に射出され射出
座席の歴史に残る記録を作った。
ワイバーンは1956年のスエズ動乱時にも出動したが、1958年4月22日にはすべてのワイバ
ーンは実戦配備から引き揚げられた。それまでの運用とテスト中に68回の事故があり、イギリス空
軍とアメリカ海軍の2名のパイロットを含む39名が失われ、13名が重傷を負った。総生産数は各型
併せて127機。
資料写真はイギリス、ヨービルトンのFAA博物館に展示されている、ロールスロイス・イーグル装
備の機体、ウェストランドW−34ワイバーン TF.Mk.1
   諸元一般
      乗員        1名
      全長        12.88m
      全幅        13.42m
      最大離陸重量    11.113トン
      エンジン   アームストロングシドレーパイソン ターボプロップ
                          3.667馬力
      性能    最大速度      613Km
            航続距離     1.446Km
            武装     4 × 20mm ヒスパノ機関砲
                   16 × RP−3 ロケット弾
                   爆弾 1.364Kgまたは魚雷、機雷

      
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